はじめての作動

10時頃に起床して普段通りに過ごし、一階の納戸にて午後14:30からのバトンの練習の用意をしていた娘。2階にて母は食器を洗い、妹は夏休みの宿題をするという、ごくありふれた夏休みのある日。

納戸のドアに下げてある「もののけ姫」に出てくる「こだま」のマスコットの鈴が「ちりん」となった。ドアの開け閉めをしないとならない「こだま」の鈴が、その気配もなく鳴った。

2階から娘の名前を呼ぶ。けれど返事がない。時々、両耳にイヤホンを付けて好きな音楽を聴いている娘なので、妹「両耳イヤホンで聞こえないんじゃない?」と言うし、まぁそれかなと思ってもう一度呼ぶけれど返事がない。

何となく嫌な予感・・・急いで洗い物を中断して階段を駆け下りて納戸に入ると、娘が倒れている。ちょうど目を普通に開いた瞬間だった。

娘は弱弱しい声で

「あ、来る、ってなってしゃがんだんだけどそこから記憶がないの」

「額の左端が痛い」

「ICDのところから左腕全体がなんか痛い。左腕に力が入らない。動かしづらい。」

と言う。

下半身を見ると失禁はしていないけれど、これは発作が起きてICDが作動したのだろうと推察。

指導者の一人と何とか連絡を取り今日の練習のお休みを伝え、病院にも連絡をする。
ちょうど主治医が翌日外来受診担当日だったので、予約を入れて受診。

病院でICDのチェックをしてもらうと、確かに心室頻拍が起きていて、頻拍発生からショック用電力をチャージして発動するまでに18秒程度。娘にショックを与えられた記憶は残っていない。除細動のショックが与えられるタイミングを見ていないのは残念だったけれど、明後日に控えた発表会の練習では、片手側転、側宙、前宙、ロンダート、バク転、逆立ち、3バトンと左腕をかなり使い込んでいたのだけれど、リードが外れていた訳ではないことが確認できて安心。左腕が痛いのは、除細動ショックの際、左側の筋肉にも一瞬電気が流れて、不随意に強い力が発揮されたのだろうから、筋肉がびっくりしたのかもね、とのこと。

今回の発作は、立ち上がった瞬間にめまいが生じている。2年前に2か月連続して起きた発作も、昨年、左交感神経を切除した後に同じ部屋で起きた発作も、立ち上がろうとしたら倒れた。ここ数日の下痢とちょうど排卵期であることも医師に話すと

医師「起立性低血圧の発生機序と無関係とは言い難い。そうなるとβ遮断薬を増やすのは違うのかなと思う。生理が重い?のであれば婦人科の先生とピルのことを相談しておくね。妊娠・出産後にLQT2型の人の発作が起きやすいのは女性ホルモンの影響もあるだろうけれど、それよりは産後の身体的負担、それと産後うつのような精神的な負担からというのもあるとも考えられているから。次回までに相談しておくね。」

とのこと。

最近、練習が増えて、体が引き締まった分、ICDの植え込み部分のふくらみが目立つようになっていて、発作も起きないし作動もしないしと思っていたけれど、今回、ICDを入れててよかったと心の底から思ったのでした。

QT延長症候群2型の娘のこと

13歳にて遺伝子検査により先天性QT延長症候群の診断がおりた娘の治療や生活について載せています。 致死性不整脈の1つ、突然死の原因となる【先天性QT延長症候群】。 厚生労働省の難病指定から外れましたが、完治することのない病気です。 5歳から始めたバトントワーリングというスポーツでは、選手として活動してきました。 治療により体調や日々の生活に大きな影響があります。 それでも毎日を元気に生きています。

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