こども家庭庁創設と難病や障害「児⇒者」のスムーズな支援の流れ
令和5年4月1日より、こども家庭庁が創設されますね。
先日、創設の担当さんから直接お話しを伺い知識や情報を得る機会を頂きました。
一通りの説明の後、質疑応答の際、なんとな~く自己主張しない方が良さそう?なんて思い小さく挙手していたら、案の定、当ててはもらえませんでした。けれど説明されていた方からの補足として「障害児⇒障害者」ここのつながりの部分がまだ具体的ではないというようなお話しが出ましたので、それを今の時点で気に掛けて頂けていることで、開設までに改善は見込めるのかなと期待したいところです。
配布資料には、社会的養護の対象であった方々、プレーパーク等のサードプレイスで過ごす方々、子どもや若者について学んでいる方々等からのヒアリングの実際が掲載されていましたが、「難病」や「障害」と共に生きる子ども~若者のヒアリングはなかったようで、資料はありませんでした。
会場では小さく挙手しておきながら、娘のことを綴るこのブログで自己主張をして恐縮ですが・・・これまで、ヤングケアラー、貧困家庭、非行事実、10代未婚の母、シングルマザー、ステップファミリー、マルトリートメントを行う親、うつ病、更にわが子が致死性難病を発症し機械と共に生きることを選択するという、通常では経験し難いことを、子どもとしてまた親としてリアルに経験してきました。そんな渦中にいたからこそ発信できることがあり、発信し続けることが私の今生の使命なのかなぁと感じつつも、今は細々とここで娘のことを綴っている次第です。
さて、話しは戻して。
「障害のある人もない人も、何かしらの困難を抱えている人もそうでない人も、誰もが生きやすい社会」を目指すことが当たり前となった今、少し立ち止まってしまう私たちがいます。
「誰もが生きやすい社会」における「誰も」は、「ジェンダー問題に悩む人」「精神的疾病を負う人」「一人親」「障害者」という、「健常者」「一般人」「マジョリティ」と一線を画すような特異的な何かを象徴するかのような文言による括りではなく「どのような個性を有する人も」ということではないのかなと思うのです。
視力や聴力が弱いという個体差による不便や不都合がある場合、眼鏡やコンタクトレンズ、補聴器等の機器を用いますよね。同じようにわが子は先天的な心疾患という個体差=個性を有することで健常者には起こりにくい不調が生じたり命の危険に遭遇する機会が多かったりします。そしてその苦しさや危険を極力回避するためにペースメーカーやICDを埋め込んでいます。身体的・知的・精神的な特性のどれもが個性の一部であり、その個性の一部により生活に困難が生じる、あるいは個性の一部に対処した結果が障害、とカテゴライズされているだけで、障害はその人の全体像ではありません。
別の言い方をしますと・・・「障害は個性」というけれど、障害はわが子の個性の第一義的なものではなく、わが子にある個性の一部に「生まれながらに有する完治することのない予後に影響の大きな不治の病(ここでは「先天性不治疾病」と略します)」があり、これに対処して機器を埋め込んだ結果、「障害」を有するようになった、個性の一部の二次的な結果です。
何が言いたいかというと、障害の前に「先天性不治疾病」に目を向けて頂ける世の中であってほしいなぁと思うのです。理由はバックナンバーにも記しておりますように、喘息などの患者数の多い疾病やまだ発症機序や治療法が確立されていない疾病についても医療費等の助成制度はありますが、【一生、先天性不治疾病と共に生きる者】に対する助成制度は、疾病によって選別されています。ある程度の線引きは必要なのでしょうが、先天性であり、小児期に発症し、その疾病と共に大人になっていく人たちが
・医療に係る負担の軽減
・経済的状況に無関係に治療が受けられる、または掛かる費用を気にすることなく最良な治療方法を選べる
・こどもから大人になるつなぎ目で放棄されない
・疾病の有無により特別視されない
社会であってほしいと願っています。
余談かもしれませんが・・・QT延長症候群は東京都独自の小児慢性特定疾病認定であり、わが子は東京都民で小児期に発症したため医療に係る負担の軽便や費用を気にすることなく最良な治療を受けさせていただいております。正直申しまして、都民でないお子さんや大人になってから発症した方にも、わが子と同じだけの支援があって然りと思うのです。どうしたら東京都独自の小児慢性ではなく、全国的に年齢無関係の制度になるのだろうかとモヤモヤしています。
さて。。。わが子は小児期に発症し、小児期に子ども病院にて埋め込み術を受けました。先日のICD動作チェックにて、電気ショックの発動回数によるけれど、電池はあと7年以上持ちそうだということで、15歳で埋め込み25歳で交換のタイミングでもやはり子ども病院にお世話になるだろうと思います。主治医との信頼関係はもちろん、まだまだ、というか、おそらく一生、薬の増減をしながら生きていくであろうこと、そんな中、0.01gの世界で起こるわが子の体の特性を十分に把握してくださっていることなど、主治医を変えることがあるとするならば、その理由は「児から者になること」以外に見当たりません。
来年4月1日からは、厚生労働省の子ども家庭局が担ってきたことの全てがこども家庭庁に移管されます。障害児はこども家庭庁、障害者は厚生労働省になるというのが今の流れのようです。縦割りと言われる行政の仕組みに縦割りで残されてしまう可能性がある障害児と障害者の支援制度。多くが学校心電図検査で発見されるQT延長症候群という疾病をはじめとした何かしらの先天性不治疾病があったとしても、子どもや若者と呼ばれる世代から大人になった後まで、社会生活を営む上で必要な支援を継続して受けられるように制度と制度のつながりをしっかり整えて頂きたいなぁと願っています。
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